10 すべては絶え間なく流動して
最近ある生物学者の興味深い本を読んだ。
ずっとに以前に、身体の細胞は少しづつ入れ替わっているから、何年か前の身体と今はすっかり違うものなのだと聞いたことがあった。私は、きっとゆっくり古くなってくたびれた細胞が新しく作り出されて更新されるのだろう位にノンビリとした理解をしていた。
しかし、事実は全く違うらしい。身体は一時も止まってはいないと言う。
タンパク質は数種のアミノ酸で構成されていて、そのアミノ酸を構成する分子レベルでは食物由来の分解された分子により、驚く早さで分子の入れ替わりが行われているそうだ。
それはタンパク質のみならず、骨、歯、ナント体脂肪も脳細胞だって、常に高速で入れ替わっているらしい。
その入れ替わり様は、速いので、入れ替わっては留まると言うよりは、全体が一つの流れの様でであって、見かけ上は固体に映るけれど、実は流動していて、固定したものなど何もないと言う。
テレビの画像が見えるのは、沢山の走査線が1秒間に30回だかが走っていて、そこには固定した絵など何も無いのだが、私達の目には普通に 絵又は動画と見えている。それと殆んど同じ事が、実際の状態でも起きていると言う事になる!
この世がイリュージョンと、ある意味では分かっていても、実感を持つことは難しい。
しかし、その仕組みが科学的に説明されると、暗闇の灯りのようにとてもホッとする!このような研究を地道に続けてくれる研究者は凄いなあといつも思ってしまう!
私がいつもここに書いていることは、読む人がいればだが(笑)、私の妄想的戯言に思えるでしょう。この世は実在していなくて、ただの幻、しかも個人的な意識、信念体系が創り出しているだけなのだと言っているのですから。
さて、人間の科学は、素粒子は点であって波、意識に左右されるとわかり始めている。(やっぱりスゴイ)
意識が素粒子を動かし、原子を作り、分子を構成し、アミノ酸を構成して、タンパク質になるのだから、意識が、信念が、身体を創っていて、しかも実は、常に流動していると言うのは、とても道理に合っているではないか!
その様な幻影を、実現として認識してしまう様な仕組みもちゃんと装着されていて、まるで、立体画像を観る為に3D眼鏡を装着する様に、しかも、装着している事を忘れてしまっているとしたらどうだろう?
幻影は現実世界としか映らないのではないだろうか!
私は、オカルトやムードでスピリチュアルとかの話をするのは苦手です。私の興味は究極の真実、自己の実態、この世の、宇宙の理由であり、其処から先に進みたいのです。
しかし、まだ此処でウロウロしています。理由は良く分かっています。
私は、未だに、とても人間的なる信念体系を持っていて、其れに基づいての思考が多いのです。
インドにこんな可笑しい話があります。
一人の偉い神様が地球に遊びに来て、ほんの遊び心で雌豚になって見ました。雌豚になった神様は、豚として毎日忙しく生活し、昼は食べて遊び、夜は眠り、やがて子を産み育てました。いつまでも帰って来ない神様を仲間の神様が呼びに来ました。「いつまでそんな所で遊んでいるのですか?天では貴方がいないので困っています」すると雌豚の神様は、「今は忙しいのだよ。この子豚たちに乳をやらなければならないのだからまだ帰る訳には行かない」それから長い年月の間、雌豚は子育てを続けました。神様はもう自分が始めからずっと雌豚で、天に住んでいたことを忘れてしまいました。迎えの声もたまに聞こえるような事もありましたが、それも直ぐに忘れてしまいました。ですから、ちっとも天に帰りませんでした。
天の神様たちは呆れて、今度こそはと、とても大勢で迎えに来ましたので、豚の神様もおおそうか!とやっと気づいて、雌豚の身体から離れて天に帰りました。「いやあ豚の生活も楽しかったのなあ」と言いながら。